Chat Control 1.0と2.0の解説
Chat Control 1.0 and 2.0 Explained
EUでは、「Chat Control」と呼ばれる2つの法案が並行して進められている。Chat Control 1.0は、2021年に導入された一時的な例外措置で、プロバイダーが児童性的虐待資料を検出するためにプライベートメッセージをスキャンすることを(義務ではなく)任意で許可していた。これは2026年4月4日に失効したが、欧州議会が延長を拒否したため、理事会は内容が同一の新たな法案として復活させようとしている。一方、Chat Control 2.0(CSA規則)は、デジタルプラットフォームに対し、児童性的虐待資料の検出と報告を法的義務とする恒久的な規則案である。現在、欧州議会と理事会の間で三者協議が進められているが、特にエンドツーエンド暗号化されたメッセージのスキャンを義務付けるかどうかが争点となっており、合意に至っていない。2026年6月29日の最終協議も決裂し、交渉は継続中である。
- 欧州議会がChat Control 1.0の延長を拒否したが、理事会が同一内容の新法案として復活させようとしている
- Chat Control 2.0(CSA規則)はデジタルプラットフォームに対し児童性的虐待資料の検出・報告を法的義務とする恒久的規則案であり、エンドツーエンド暗号化メッセージのスキャン義務化が争点となっている
- 2026年6月29日の最終協議が決裂し交渉が継続中である
本記事はテック投資家にとって、EUのプライバシー規制と暗号化通信の将来を大きく左右する重要な政策動向を伝えている。Chat Control 2.0はエンドツーエンド暗号化(E2EE)の技術的実装と法的扱いに直接影響するため、E2EEを提供するメッセージングプラットフォーム(WhatsApp、Signal、Telegram等)や暗号化技術を組み込むセキュリティ製品、PQCなどの暗号技術スタートアップの事業環境を根本から変える可能性がある。また、暗号化の強制解除を義務化する動きは、通信の秘密やプライバシー技術への投資判断に重大な影響を及ぼす。規制の行方次第で、E2EE関連技術への需要が急減するリスクと、逆に検出技術(クライアントサイドスキャニング等)への新たな需要が生まれる可能性があり、注視すべき案件である。